最初の飼い主は誰? イヌの家畜化についての最新研究!
人類が最も古くから家畜化した動物はイヌである、という説があります。
では、いつ、誰が最初にイヌを飼うようになったのでしょうか?
■オオカミとイヌのDNA
この研究を行ったのがフィンランドのトゥルク大学の研究チームです。
研究チームはヨーロッパ中心に古代のオオカミとイヌ、それぞれに属する動物のDNAサンプルを集め、それを現代のイヌやオオカミなどのサンプルと比較しました。
その結果、古代のオオカミは現代のイヌに非常に近いことが判明、チームではイヌの先祖は絶滅したヨーロッパのオオカミであると断定し、イヌの家畜化がヨーロッパから始まったという結論を出しました。
現代のオオカミと古代のオオカミを比較してみると、古代のオオカミの方が現代のイエイヌに近いDNA構造をしているといいます。
これはその2つの種族の間に親しい血の繋がりがあることを意味しています。
■イヌ家畜化のルーツは?
従来の説によれば、イヌの家畜化は東アジアもしくは中東でから始まったとされています。
この家畜化については、農業の発展が大きく関係していると言われています。
今回の研究論文の共同執筆者の一人は、この説に異論を唱えています。
その説によれば、アジア等の農業文化圏において動物が家畜化されたのは、その動物が農耕作業に必要であるという必然性によるものですが、オオカミやイヌのような、危険性のある肉食獣を積極的に家畜化する必然性は考えられないということです。
研究チームは狩猟採集民が最初にイヌを家畜化したという説を提示、最初は人間が狩猟した大型獣の死骸の後始末をさせるためにイヌを使ったと推測されています。
やがて、イヌは残飯処理以外にも危険な害獣から飼い主を守ったり、その狩猟を手伝うなど、ヒトとの繋がりを深めていったのだといいます。
人間がアフリカから発祥し、大移動を続けて南アメリカまで至った、所謂『グレートジャーニー』は有名ですが、イヌが世界に拡散していった経緯を考えても、ヨーロッパで家畜化が始まったと考えるのが合理的であるとのことです。
今後、研究チームは遺伝子の解析による研究を続け、今回の研究成果の裏付けをしていくとのことです。
■おわりに
人類と犬の絆は、思っているよりも遥かに古く、そして深いもののようです。
今後の研究成果が待たれます。