正に魔窟……1992年に消滅した香港のスラム街、九龍城塞



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1997年に香港がイギリスから中国へ返還される事が決まった後、香港の街から姿を消した巨大なスラム街が存在しました。

そのスラム街の名は「九龍寨城」……一般的には「九龍城塞」の名前で知られています。

映画「ブレードランナー」を始め、数々のエンターテイメント作品に影響を与えた「九龍城塞」とは、一体どのような街だったのでしょうか?

 

■九龍城地区

九龍城塞は現在の香港は九龍城地区にあった城塞の跡地に建設された巨大スラム街です。

九龍城塞の歴史は古く、その起源は宋の時代(960年 – 1279年)に始まります。

その時代、香港は香木の輸出港として栄えましたが(「香港」という名称もそこから名付けられたという説があります)、その富を狙う海賊が近海に出没するようになり、その対抗手段として軍事城塞が建設されたと言われています。

その後、1841年の清とイギリスの阿片戦争を経て九龍城地区はイギリスに割譲されますが、城塞は租借地から除外されていた為、イギリスの香港防衛を妨げないという条件で、清の役人が常駐を続けます。

その後、日本による香港占領等の時代を経るうちに九龍城塞は治外法権状態が常態化し、難民が大挙して流入するようになります。

やがてバラックが建設されるようになり、それは無計画なまま増築や新たなビルの建築を繰り返し、ついには高層化、『九龍城塞は一度踏み込んだら脱出することはできない』と言われる迷宮と化していきました。

1950年代から1990年代初頭にかけて、九龍城塞は公然と犯罪的行為が行われる魔窟として反映しましたが、香港がイギリスから中国に変換されることが決定したことを受け、1992年、取り壊されるに至りました。

 

■アジアの都市構造のサンプル

九龍城塞は無計画なペンシルビルの建設や増改築を繰り返し、細い路地が縦横網の目のように造られた迷宮状の構造をしていました。

高層化に伴い地上階付近には日の光も届かなかったそうです。

イギリス領でありながらその統治が及ばないことから、九龍城塞内部では違法な歯医者や海賊出版社が操業し、コピー商品や違法薬物の製造が公然と行われていました。

その魔窟的イメージから、九龍城塞は多くの映画やゲームと言った、エンタテイメント作品に多大な影響を与えています。

映画『ブレードランナー』で描かれた酸性雨降りしきる薄暗いロサンゼルスの街には中華アジア系の移民たちが闊歩し、雑然とした猥雑さを醸していますが、これは正に九龍城塞のイメージをモデルにしているものです。

『ブレードランナー』の影響を受けて製作されたアニメ映画『攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL』は近未来のアジアの都市を舞台としており、より実在した九龍城塞のイメージに近い街の姿が描かれています。

他に類を見ない規模のスラム街の構造はアジアの都市構造のサンプルとして、現在でも価値を持ち続けていると言えるでしょう。

 

■おわりに

現実の九龍城塞は残念ながら今はもう存在しませんが、その蠱惑的な雰囲気は映画やゲームで今でも観ることが可能です。

今後も魅力的なエンタテイメントの舞台として、この街はイメージの世界で生き続けることでしょう。

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