酒飲みの夢? 国際宇宙ステーションでウイスキーの熟成実験



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国際宇宙ステーション(ISS)で行われている実験や研究は、宇宙や天体に関するものばかりではありません。

無重力=重力の影響を受けないという地上では得られない環境下で、化学反応や生物の行動にどのような変化が起こるか、数多くの実験が行われています。

中にはちょっと変わった実験もあるようです。

2012年、実験用としてISSに持ち込まれたのはなんとスコッチウイスキーでした。

果たして、どのような実験が行われているのでしょうか?

 

●密造が現代のウイスキーを生み出した

ウイスキーとは主に大麦やライ麦、トウモロコシなどを、麦芽酵素で発酵させ、蒸留して作った酒のことです。

ウイスキーの語源となった言葉、アクア・ヴィテ(aqua vitae)=『命の水』とは、元はぶどう酒を蒸留して作る酒、つまり現代のブランデーを意味しましたが、蒸留酒の製法が世界各地に広まるに伴い、それぞれの土地で生産される原材料(穀物や果実、ジャガイモ等)を用いて蒸留酒が作られるようになったことから、同じ語源を持つさまざまな『命の水』が生み出されることになりました。

もともと、ウイスキーは現代のものとは違い、無色透明でアルコール度数の高い、粗雑な蒸留酒でした。

現代のウイスキーのような琥珀色で香り高い酒が作られるようになったきっかけは、18世紀にスコットランドで横行した酒の密造がきっかけでした。

18世紀にスコットランドはイングランドに合併されました。

1725年、イングランド政府は対仏戦争の資金調達のためにウイスキーへの課税を大幅強化しますが、スコットランドのウイスキー生産者はこれに反発、密造が盛んに行われるようになりました。

密造されたウイスキーは樽に入れて長期貯蔵されましたが、貯蔵されたウイスキーには琥珀色と特有の香りが付きました。

また、麦芽を乾燥させる燃料として使えるものがピート=泥炭しかなかったために、それが用いられましたが、それによってピート香と呼ばれるスコッチウイスキー特有のスモーキーさを持つようになりました。
 

 
●無重力下の熟成でどう変わる?

2012年4月、スコットランドの首都エディンバラで開催された『エディンバラ国際科学フェスティバル』において、国際宇宙ステーションに於けるウイスキーの熟成実験の計画が発表されました。

実験を行うのはISSの米国実験リソースによる実験機会を提供しているナノラックス社です。

ナノラックス社はウイスキーの香り成分である『テルペン』の分子構造と働きを解明するため、スコットランドのアイラ島にあるウイスキー蒸留所のウイスキー原酒から採取した微量有機化合物の無重力下に於ける熟成の過程と変化を調べる実験を企画しました。

実験に使用されるウイスキーを提供するのは、スコットランドのアイラ島にある、アードベッグ蒸留所です。アイラ島のウイスキーは蒸留所が湾岸に位置することから潮の香りの影響を受けたヨード香と、泥炭由来の強いピート香を持つ、個性的な酒と知られていますが、アードベッグ蒸留所のウイスキーはその中でも際立った特徴を持っていることで知られています。

本来、ウイスキーは樽の中で熟成させる必要がありますが、さすがに樽ごと原酒をISSに持っていくことは不可能なため、実験ではオーク(楢)製の樽の破片を原酒の中に入れ、どのような相互作用があるかを観察するとのことです。

また、地上でも同条件で実験を行い、無重力下での熟成とどのような違いが現れるか、比較観察を行うとのことです。

アードベック蒸留所は実験を記念し、2012年、ボトルにロケットのデザインをあしらった限定生産のウイスキー『アードベッグ ガリレオ』を発売しました。

 

■おわりに

宇宙で熟成したウイスキー、一体どんな味になるんでしょうね?

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