最長記録は484日? 世界の漂流物語



お気に入り!
アメーバなう!
つぶやく!
シェアする!


主人公が、事件や事故をきっかけに海を漂流し、幾多の苦難を乗り越えて生還する……漂流を題材とした多くの文学作品がありますが、実際にはどのような例があるのでしょうか。

実際に起きた歴史上最長の漂流に関するお話です。

●極限状況でのサバイバルを描く

漂流を題材とした文学作品として、多くの人がまず思い起こすのは1719年に出版された『ロビンソン・クルーソー』でしょう。
『ロビンソン・クルーソー』は、イギリスの作家ダニエル・デフォーが書いた小説です。正式タイトルが非常に長いことでも知られているのですが、皆さんはご存じでしょうか?

初版に付けられたタイトルは以下の通りでした。

『The Life and Strange Surprizing Adventures of Robinson Crusoe, of York, Mariner: Who lived Eight and Twenty Years, all alone in an un‐inhabited Island on the Coast of America, near the Mouth of the Great River of Oroonoque; Having been cast on Shore by Shipwreck, wherein all the Men perished but himself. With An Account how he was at last as strangely deliver’d by Pyrates.(Written by Himself)』

(自分以外の全員が犠牲になった難破で岸辺に投げ出され、アメリカの浜辺、オルーノクという大河の河口近くの無人島で28年もたった一人で暮らし、最後には奇跡的に海賊船に助けられたヨーク出身の船乗りロビンソン・クルーソーの生涯と不思議で驚きに満ちた冒険についての記述。本人記述)

『ロビンソン・クルーソー』は実在した人物、アレキサンダー・セルカークの体験した実話を元に書かれたことで知られています。1704年10月、セルカークは船乗りでしたが、船長とのいさかいが原因でチリ沖合のファン・フェルナンデス諸島のマス・ア・ティエラ島に置き去りにされましたが、4年4ヶ月後に救出されました。マス・ア・ティエラ島は1966年、『ロビンソン・クルーソー島』と改名されています。

1789年、太平洋を航行中であったイギリス海軍所属の武装船バウンティ号で反乱が起こり、ブライ船長他、約20人の乗組員が追放され救命艇で約40日間海上を漂流した『バウンティ号の反乱』事件は、多くの文学作品や映画の題材とされたことで有名です。

サイエンス・フィクション(SF)の開祖として知られるフランスの作家ジュール・ヴェルヌが1888年に少年向け小説として発表した『2年間の休暇』。無人島に漂着した15人の少年たちが協力し合って生き抜くこの物語の日本語訳版は『十五少年漂流記』のタイトルで知られています。

多くの漂流を題材とした文学作品が、後世、映画化・ドラマ化され、人気を維持し続けています。それは、極限状況に置かれた登場人物が知恵と勇気で難局に立ち向かい生き抜こうとする、そのドラマに普遍的な魅力があるからかもしれません。

●漂流の最長記録は日本人?

2014年1月30日、マーシャル諸島のイーボン環礁に一隻の小型漁船が漂着、乗っていたエルサルバドル出身の漁師のサルバドール・アルバレンガさんが救出されました。

アルバレンガさんの船は2013年初頭に同乗者1名と共にメキシコから出港後、強風に流され漂流。その後同乗者は亡くなってしまいましたが、アルバレンガさんは魚やカメを食糧とし、雨水で乾きをしのいで生き延びたのだということです。

13ヶ月の漂流はかなりの長期間ですが、これを上回る484日もの期間、海上を漂流し続け、漂流期間世界最長とされる船があります。それは江戸時代の尾張藩商人、小嶋屋庄右衛門が所有していた商船「督乗丸」です。

1813年、江戸から船員14名を乗せて出港した督乗丸は遠州灘で暴風雨のため遭難、舵を破壊されて航行不能に陥ったまま潮流に乗って漂流してしまいます。1815年になって、イギリスの船がアメリカのカリフォルニア州沖で同船を発見、生存していた船頭の小栗重吉他2名を救出しました。

救出された3名は択捉島に護送、そこで1名が病没し、残された2名が最終的に故郷に帰還したのは1817年になってのことでした。国学者の池田寛親が小栗重吉から聞き取り調査を行い、それを『船長日記(ふなおさにっき)』という書物にまとめて出版しています。

生還した小栗重吉は名字帯刀を許され仕官しますが2ヶ月で職を辞し、残りの生涯を漂流で亡くなっていった他の乗組員たちの供養に余生を捧げたということです。

『船長日記』は現代でも出版され、入手可能です。

●おわりに

漂流という極限状況を生き抜いた人たちの知恵と勇気には頭がさがる思いがします。

 

お気に入り!
アメーバなう!
つぶやく!
シェアする!


あわせて読みたい


【スポンサーリンク】