ブラックホールは存在しない? ホーキング博士の新説が物議を醸す



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スティーブン・ホーキング博士と言えば、『車椅子の物理学者』として、科学に詳しくない人にもその名に聞き覚えのあるビッグネームでしょう。

そのホーキング博士が『ブラックホールは存在しない』とする新しい説を発表し、物議を醸しています。果たして、博士の新説は、一体何を意味しているのでしょうか?

●創造主の存在を否定した、車椅子の天才

スティーブン・ホーキングはイギリスの理論物理学者です。

1942年にオックスフォードに生まれ、1957年にオックスフォード大学に入学、同校を卒業後、ケンブリッジ大学の大学院に入学しますが、翌年、筋萎縮性側索硬化症を発症します。

この病気は全身の筋肉が萎縮・硬化するという病気で有効な治療法は確立されておらず、通常発症から3~5年で死に至りますが、彼の場合、なぜかその進行が極めて遅く、発症から50年以上経った現在でも、車椅子に乗りながら研究を続けています。

1963年、物理学者のロジャー・ペンローズと共同で『特異点性定理』を発表。アインシュタインの有名な一般相対性理論の破綻を示す、特異点の存在を証明しました。

後に、ホーキング博士は一般相対性理論と量子力学を結びつけた『量子重力理論』を提唱。

この提唱から、ブラックホールから量子効果によって粒子が放出される”ホーキング放射(輻射)”の存在が予想されています。

1988年、一般読者のための宇宙論解説書『ホーキング宇宙を語る』を出版、全世界で1000万部、日本国内でも100万部を超える大ベストセラーとなり、ホーキングブームが起こりました。

2010年に刊行した書物の中で神の存在を否定する発言を行い、宗教界からの批判を浴びていますが、翌年には死後の世界や天国の存在を否定する見解を表明しています。

●30年越しの賭けの結末

ホーキング博士は真空の空間を”何もない空間”ではなく、いたるところで粒子と反粒子が生成しては対消滅を繰り返す空間と規定しました。この現象は”真空のゆらぎ”と呼ばれます。

『量子重力理論』により、ホーキングはブラックホールは真空のゆらぎによって生じる片方の粒子のみを飲み込み、反粒子が残されるという現象が起こることを予測しました。

この残された反粒子が、外から見た場合にブラックホールから放射されるように見えると思われることから、これを『ホーキング放射(輻射)』と呼びます。

ホーキング放射の効果によって、ブラックホールはエネルギーを放出して縮小し、最期には蒸発すると予想されています。

しかし、この『ホーキング放射』の予想は、ブラックホールに関する、ひとつのパラドックスを生じさせました。ブラックホールはその超重力で光すらを飲み込みますが、飲み込まれた物質の質量や情報は形をかえながらそこに残ることになります。

ホーキング放射で放出される反粒子はブラックホールに飲まれた物質とは無関係の存在ですが、それによってブラックホールが縮小し蒸発してしまうと、飲み込まれた物質自体が他の形に変換されることなく、消滅してしまうことになります。

これは『ブラックホール情報パラドックス』と呼ばれ、長年にわたって議論されることになりました。

ホーキングは自身の理論に従い、ブラックホールに飲まれた物質の情報は消滅してしまうという立場を取っていましたが、1975年、アメリカ・カリフォルニア工科大学のジョン・プレスキル博士がこれに反論、二人はブラックホールに飲まれた物質情報が消滅するか否かで、29年間にわたる賭けをしていました。

ホーキングが自身の説を誤りだったと認めたのは2007年のことでした。

彼はブラックホールが蒸発する際に、飲み込んだ物質の情報をなんらかの形で放出すると、持論を修正、プレスキル博士との賭けに負けたことを認めたのでした。

2014年1月、ホーキング博士は発表した論文において上記の理論を取り上げ、これまでの『光が無限に抜けだすことができない』というブラックホールの定義そのものの見直しを提起し、旧来の『(光が脱出できない)ブラックホールは存在しない』としました。

つまり、ホーキング博士の発言は、ブラックホールの定義付けそのものを変える必要があるという意味であり、ブラックホールという現象自体が存在していない、ということではないという事です。

冥王星が惑星から準惑星に定義変更されたことと似ているかもしれませんね。

●おわりに

ブラックホールに飲み込まれた物質が、別のかたちを取って再び宇宙に放出されているとすると、それはどのような現象を起こしているのでしょうか? 非常に興味深いところですね。

 

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