海底に描かれた不思議な文様”妖精の輪”、その謎が解明される。



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”妖精の輪(Fairy Ring)”とはケルトの神話に語られる現世と妖精の世界を繋ぐ門のことですが、実際の自然現象でも、この”妖精の輪”のような不思議な円形の文様が形作られることがあります。

2008年にバルト海の一角の海底で発見された”妖精の輪”について、その生成の謎を解明したという研究の成果が発表されました。

■”塚の一族(アエース・シデー)”の妖精の輪

ケルト神話によれば、ミレシウス一族(アイルランド人の先祖であるゲール人の事と考えられています)との戦いに敗れたトゥアザー・デ・ダナーン(女王ダナーの一族)は地下に去り、妖精(シー)になったと言われています。

その妖精たちが地上に集って踊った跡と言われるのが”妖精の輪”です。

キノコの列が形作る円形の中に、色の濃い緑の草の生えた場所のことで、夏至の前夜や万聖節(ハロウィーン)の夜にそこに踏み込むと、妖精の国へと連れて行かれると伝えられています。

実在する自然現象にも”妖精の輪”と呼ばれるものがあります。

アフリカ南部、ナミビア共和国の海岸沿いに位置するナミブ砂漠の周辺の草原で確認できる現象です。直径数メートルから最大で15メートル程の、草の生えない、まるでそこだけが禿げてしまったような裸地を指して”妖精の輪”と呼ぶそうです。

2013年にハンブルク大学のノルベルト・ユルゲンス博士が発表した研究結果によると、この草原の”妖精の輪”を作っているのは、スナシロアリというシロアリの一種だそうです。

シロアリが巣を作った周囲の植物の根が傷つけられ、植物が枯れて裸地ができます。

植物がなくなったことで、その場所の土には周囲に比べて水を蓄えるようになります。

その水分を吸収して裸地周辺の植物が繁殖し、結果的にそこだけが丸く植物を刈り取ったような独特の地形ができるということです。

■海底にできるアマモの”妖精の輪”

2008年、バルト海にあるデンマークのムーン島周辺の浅瀬で、観光客らがその海底にあった円形の模様を撮影、この海底の”妖精の輪”について、2014年2月、研究結果が発表されました。

それによると、輪の正体はアマモという海藻の一種でした。輪の内側の土壌からは植物が枯れる時に生成される硫黄化合物が大量に検出されたそうです。

本来であれば硫黄化合物は海水に結合する筈なのですが、この海域の蓄積物は石灰質であったことから海水中の鉄分に乏しく、堆積し、年取ったアマモがそれを吸収、枯れてしまったと考えられます。

群生するアマモは放射状に成長します。つまり群生の中心部程、年取ったアマモで構成されることになりますが、この弱くなったアマモが硫黄化合物を吸収して枯れ果て、放射状に広がった群生の外側にある若いアマモだけが残り、結果として円形の輪を描くことになったのです。

硫黄化合物は酸素濃度の低い海水に多く含まれることが知られていますが、近年、工場排水などの海水汚染によって、海の中の酸素濃度が低くなる傾向にあるといいます。

工業排水などに含まれるリンや窒素が、それを養分とする藻類の成長を促し、それが海中の酸素濃度の低下と、結果として海藻の枯れ死を招いているのです。

アマモは海中生物の食糧になる他、海水の浄化作用や海岸線の浸食を防ぐ役割を担っており、そのアマモが減少するということは、海底の生態系を損なう大きな原因になると専門家たちは危惧しています。

■おわりに

”妖精の輪”というロマンティックな呼び名とは真逆の深刻な問題があるようです。どうやって海の環境を守っていくのか、それが今後の課題になるでしょうね。

 

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