折り鶴から人工衛星? 注目される日本伝統の技術とは?
とかく、宇宙開発と言えば最先端技術ばかりが活躍しているように思われがちですが、その開発現場で意外な技術が注目を集めることもあります。
今、宇宙開発の現場で注目を集める、日本伝統の”技術”とは、一体……?
●注目されたのは『小さく折りたたむ技術』
宇宙空間で活動する国際宇宙ステーションや人工衛星の動力源となるのは、ソーラーパネルによる発電です。
燃料や電池を積んでいても、それにはどうしても限界がありますし、発電機のような重量のある装置を積むことも、打ち上げのネックになるために現実的ではありません。
この問題を解消するために利用されているのがソーラーパネルです。
太陽光は事実上無尽蔵のエネルギーと言えますし、地上での太陽光発電と違い、天候の影響を受けることなく効率的な発電が可能です。
しかし、宇宙空間でソーラーパネルを使うことにはひとつの問題があります。
それはソーラーパネルをどうやって宇宙空間へと運搬するか、という問題です。
パネルの面積を抑えつつ、発電力を向上させるための技術革新も進んではいますが、パネルの面積が発電量と比例することには変えられません。
宇宙空間でソーラーパネルを製造することが出来ない以上、地上で製造されたパネルを宇宙へ運ぶ必要があるわけです。
しかし、現状ロケットによる宇宙への物資運搬量には体積的な限界があります。ソーラーパネルを小さく格納した状態でロケットに搭載する他ありません。
いかに小さく格納し、それを宇宙空間で問題なく展開するか。
その問題をクリアするために注目されているのが、日本伝統の『折り紙』の技術なのです。
●小惑星を捕獲するネットにも応用可能
折り紙とは、1枚の紙を折って動植物等、さまざまな形を作る日本伝統の遊びであることは、皆さん良くご存知の通りです。
ソーラーアレイの技術をを開発しているアメリカ・ユタ州のブリガムヤング大学の開発チームは、アメリカの折り紙作家であるロバート・J・ラングに注目しています。
ラング氏はWEBサイトで折り紙技術が色々なジャンルの技術に既に応用され、今後も貢献することを紹介しており、それが開発チームの目を引いたのです。
すでに折り紙の技術が応用されたソーラーアレイの試作品が製作されています。
展開時には直径25メートルの大きさにもなるものですが、折りたたむと、幅2.7メートまでサイズダウンすることが可能です。
開発チームは、折り紙の技術を単にソーラーアレイに応用するだけではなく、NASAが現在進行中の小惑星捕獲計画においても、捕獲に利用するネットにこの技術が応用できると考えています。
■おわりに
折り紙技術は宇宙開発の現場以外にも、医療技術や緊急時の仮設住宅への応用も検討されているとのことです。
私たちが幼いころ親しんだ遊びが、思わぬところで役に立っていたとは、なんだか誇らしい気持ちになりますよね。
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